表題の通り、数年ぶりに年末に、そして久々に山歩きなどしてきた話。

今回登ったのは富士山……の脇にある宝永山という所。江戸時代の噴火によりできた山で、三つの噴火口をもつ富士山で最も新しい火山となる。以前も登山シーズン外に登った事があるのだが、この時期は一般的な富士山登山ルートは閉鎖されているので、アクセス容易な水ヶ塚公園という場所から須山口登山道を登るのが一番簡単。因みにこちらの写真は、撮影するのを忘れていて帰ってきた後の撮影。

歩き始めは樹林帯で、このような苔の生えた岩が多い所に富士山周辺の樹海の趣を感じる。



しばらく登っていくとだんだん植生が薄くなってきて富士山も見えてくる。

この右に見えるのが今回の目的地である宝永山。

宝永山の下にある第二火口付近まで来ると一気に視界が開けてきて、こちらの富士市方向や周辺の街が良く見えるようになる。ちなみに見ての通り写真は傾いているのだが、傾斜した場所にいるからか自身の感覚がずれていてこのような写真が多かったりする。

反対側を見ると火口があり、上がこれから向かう第一火口、右下が第二火口になる。

そしてさらに右には目的の宝永山がある。なお、この日のレンズは山歩きの定番としている12-45mm F4.0を持って行ったのだが、写真の通り広角が足りず何枚か撮影する場面が多かった。こういう時は8-25mm辺りが欲しくなったりもするが、サイズが微妙に大きくOM-1以外で使いづらそうなのが気になる所なので、できれば9-18mm辺りのPRO版が出てくれると嬉しい所。もしくはPanaの8-18mmと言う手もあるが。


振り返ると御殿場・裾野方向と愛鷹山も良く見えていたが、伊豆半島方向は雲がかかってやや見えづらかった。この辺りに来ると、視界の広さと傾斜から結構高所感があり、それほど危ない個所ではないのに緊張したりする。

第一火口に見える折れ曲がった道が、右にある宝永山への最後の登り。


富士山山頂方向と火口の上端。火口もそうだが見た目のスケール感が凄い。


第一火口の底付近まで降りて最後の登りが始まる。ちなみに看板の通り火口の上端から頻繁に石などが転がり落ちてきており、その音が火口全体に響いている。
さて、ここから最後のひと踏ん張りといった所だったのだが、ここにきて太腿が限界にきて急にこむら返りを起こしだして一気にペースが落ちてしまった。最近まともに身体を動かしていなかったからか、もしくは水分や栄養が不足していたのか、あるいは寒さで筋肉の調子が悪かったのか。正直思い当たる節しかなかったのだが、数歩歩いては止まるのを繰り返してなんとか歩を進めていった。


周囲を見渡しながらこまごま休憩。脚の問題がなくてもこの登りは火山特有の軽石状の堆積物で足場が非常に悪く、かなり疲れる道になっている。とは言え今回はあまり雪もなく、凍結していなかったのはまだ良かったのかも知れない。

この辺りから風が強く吹きだして、時折背中を押されたりしていた。火山灰も舞うので自分はともかく持ち物が少し心配。

最終的には走った方が使う筋肉的に何とかなりそうだったので、小走り気味にようやく登りきり「馬の背」と呼ばれるちょっとした平坦地へ。本来であれば馬の背を挟んで反対方向に山中湖方向が見えるはずが、見ての通り曇って全く見えなかった。

馬の背を少し歩いて目的地まであと少し。



と言うわけで、今回の目的地である宝永山へ到着。見ての通り雲があり来た道以外はどこを見ても微妙な展望で少し残念だった。因みにこの碑の周りはレンズで歪んで見えるているのかと思ったが、実際に大きく変形していた。以前来た時はこんなにひどくなかったので、少しづつ崩れていっているのかも知れない。

その後、食事をとりつつ休憩していたのだが、あまりに風が強く気温もマイナス二桁台で休憩にならなかったので早々に退散することにした。

強風に煽られつつ滑る道をゆっくり下りなんとか第二火口まで降りてきた。振り返ってみると徐々にガスというか雲が広がりつつあったので丁度良かった感じ。

こうして下から見る宝永山は、なんというか火星感があって結構好きだったりする。


こちらは第二火口なのだが、クマのような黒い影があると目を凝らしてみると、カモシカのような動物がいた。火口付近はそれほどエサのある植生というわけではなさそうなのだが、もっと下の樹林帯より都合の良い場所なのだろうか。


さて、帰りは行きと違い須山口登山道を外れ第三火口を反対側に下るルートを進んだが、今回はもう一つ目的があり、二ッ塚もしくは二子山と呼ばれる、下の方から見ても目立つ二つ連なった山へも登ってみることに。以前来た時は地図に登山道が見当たらなかったので登る山ではないのかと思い寄らなかったのだが、その後普通に登れることが分かったので改めてになる。


登山道が二つの山の間を縫うように通っており、丁度その中間からそれぞれの山へ登る道筋がある。



まずは高い方の山から登ってみるが、先ほどの宝永山並みに足元が崩れる道でジグザグにゆっくり進んで何とか山頂に到着。登ってみると石を盛った場所が二つあり、一枚目の低い方に三角点がある。また、二枚目の様に先ほど宝永山で見られなかった山中湖もきれいに見えていた。

高い方から見た低い方。若干へこんでいるのが火口だろうか。

ここでまた食事をしつつ休憩していたのだが、トビらしき鳥が寄ってきた。食事をさらいに来たのかと身構えたが、少しすると遠くへ飛んで行った。

しばらくゆっくりしていると急に辺りが雲に包まれ、一気に視界がなくなってしまったので、降りる方向も怪しくなりつつ下山することに。

そのまま返す刀で低い方へも登ってみたが、見事に景色は見えなかった。


高い方とは違い、こちらには神社というか碑があったが、周囲はかなり崩壊してしまっている。


所々に轍のようなものがあったのだが、もしかしたら御殿場口辺りから二輪車で登ってきたのだろうか。

展望もなく寒くなってきたので降りようとしたとたんに晴れてきて少し周囲が見渡せるように。こちらは小山・山中湖方向。

降りる間際に高い方の二ッ塚を。こうして見ると意外と高さがあった。宝永山からの下山途中にこちら方向に曲がった道があればもっと楽に登れそうではある。

こちらにもシカかカモシカのグループがいた。





目的を達成した後は元の下山ルートに戻り、幕岩や御胎内に寄りつつ登山道入り口へ。


普段倒木がそのままになっている登山道によく出くわすので、切ってあるのは結構整備されている感がある。

以前来た時にも思った、というか迷ったのだが、樹海など比較的標高の低い樹林帯の方が、高低差が少なく道もはっきりしないので迷いやすいと思っている。例えばこちらは倒木で示していなければ左前に進んでしまいそうな所。

と言うことで、今回は迷わず出発位置まで戻ってくることができた。思ったより時間がかかってしまったが、明るい内に帰ってくれてよかった。宝永山で脚が不調になった時は、強く冷たい風や冬場という時期的にも若干心配になったので、低山だからと思わずにしっかり準備をする必要性を改めて感じた次第だった。そう考えると現在のいわゆるアタックザックに色々取り付けて低山をこなす方法は改めて、日帰りでももっと大きなバックパックを使用する方向にした方が良いかも知れない。

帰る直前になってようやく晴れてきた。
今回は年末と言うこともあり、道中誰ともすれ違うことはなかった。もっと積雪があればそれ目的の人もいたのかも知れないが、結果的に一人の山歩きを堪能できてよかった。次に来る機会があれば、周囲にいくつかある二ッ塚のような○○塚系のちょっとした山にも登ってみたい。
余談になるが、富士山周辺の山々での登山では自衛隊の訓練や富士スピードウェイでの音が気になる話をたまに聞くのだが、一番気になるのは年中上空を飛ぶ航空機なのではと言う位今回の道中で頻繁に音が聞こえた。安全性を考えると洋上を飛行した方が良い気もするが、距離や利便性の都合が良いのだろうか。
