今回は久しぶりのフィルムカメラ、しかも少し変わり種のコンパクトカメラと撮影した写真についての話。
と言うわけで、今回使用したのがこの「AGFAMATIC 3000」というポケットカメラ。110フィルムを使用するカメラで、そのフィルムサイズを生かした小型ボディが特徴となっている。これは元々親が使用していたもので、長い間子供、つまり筆者のおもちゃとしてもてあそばれていた。その後、自分でカメラを使用するようになってこのカメラの存在を思い出し、再び本来の用途として活躍してもらおうと引き出しの中から引っ張り出してきたのが2010年代中頃辺りだったと思う。しかし、二大フィルムメーカーはとうに製造を終えており入手性が悪くまた現像も難しそうだと思い、結局何とか通販で買った、当時詳しくない人間としては聞いたことのない会社のフィルムも少し使ってそのままになっていた。その聞いたことのない会社というのがLomographyだったのだが、最近になって35mmフィルムカメラを使うようになる中で、今でも手広くフィルムの製造を続けているのを知り、また現像も頼めそうな店も分かってきたので、改めて、そしてようやく実際に撮影と現像を行うことができたという次第になる。
手元にはカメラ本体しかないので少し調べてみたが、Agfa-Gevaertの製造したこのAGFAMATIC 3000は先述の通り110フィルムを使用するコンパクトなカメラで、上位モデルの4000と下位モデルの2000がある。中間グレードの3000は、測光機能はないが絞りが4段階の切り替え式と言うのが他のモデルとの主な違いになっている。レンズはプラスチック製のCOLOR APOTAR 26mm F6.3との事らしく、35mm判で言う所の焦点距離53mm程度だろうか。フィルムの撮影サイズは17mm*13mmで、偶然かどうかは分からないがフォーサーズのセンサーサイズとほぼ同一、またカメラの輸入販売元は当時のOLYMPUSと、何となく親近感が湧く所もあったりする。ちなみに、一部AGFAのカメラでは赤いシャッターボタンが特徴の一つで、柔らかいタッチによって手振れを抑えるということになっているらしい。とは言えそれを「Sensor」と呼ぶのはちょっと語弊があるというか、今時の電子的な何かと勘違いしてしまいそうな感じはする。なお、このAGFAMATIC 3000は機械式のシャッターだが、上位機種の4000は電子制御シャッターなので、そちらはセンサーと言えなくもないかも知れない。
ということで、ここからは撮影してきた写真をいくつか載せておく。
こちらのフィルムはスタンダートな映りの「Tiger 200」。35mmフィルムと比べても粒状感がすごいが、縮小してしまうと意外と気にならない感じがする。なお、これ以降は撮影範囲外をトリミングした写真を載せていく。
やはり暗い所は苦手になるが、それでも思った以上には粘ってくれる気がする。
若干彩度が低めかつ暖かめの色味になっている感じ。小フォーマットで絞りもF6.3というだけあって、基本的にはパンフォーカスになる。
全体的な色味や粒状感はいかにも小フォーマットのネガフィルムといった趣だが、こうしてデータ化した写真は意外と今風と言うか、現代のスキャナのお陰かそこまで古い印象がない様にも見える。とは言え、暗い場所ではさすがに粗さと色味がレトロな雰囲気を出してくる印象。
フィルムを変えて、今度はお気に入りの「LomoChrome Metropolis」。冬の低い太陽を見事に受けて、あまり参考にならない絵になってしまった。
因みにこのフィルムは巻き上げですり傷が入ったのか、全体的に横線が入ってしまっている。
フィルム入れ替えの都合で「Metropolis」のフィルムを詰めながらも名前に反して自然ばかり撮影していたが、110になって粒状感が一層増えたからかクラシカルな雰囲気が強くなって、これもなかなか良いと思う。
こちらはさすがに近寄り過ぎて失敗した一枚。最短撮影距離は1.2m程との事。
こちらはピンボケに加えて指まで入ってしまった一枚。ファインダーから離れて右にレンズがあるので、構えるときについ指を巻いてレンズを塞ぎがちになる。視差も含めて、昔使っていた一眼レフではない安価なフィルムカメラのファインダーを思い出す所。
実は、先日少し話をしたCP+にも持って行った。本当は少しフィルムが余っていたので、近くの街並みでも撮影して消費しようという魂胆。
何となく親しみを覚える同等サイズの小型撮像素子とはいえ、さすがに110で撮影して回るのはやめておいた現在のメインカメラブース。
Lomographyがブースを出しているのを全く知らなかったが、せっかくなのでMetropolisをMetropolisで。
指が被って盗み撮りしたかのような一枚になってしまったが、LomographyがまさかのAGFAMATICと同じスタイルの110フィルムカメラを出展していて驚いてしまった。こちらの情報も事前に知らなかったのですごい偶然。
こんな感じで、恐らく数十年ぶりに本来の用途で用いられたAGFAMATICだったが、さすがに年季が入っているからかフィルム送りの調子があまりよくなく、上の様にフィルムが行き過ぎてしまうことが何度かあった。しかし、それを除けば写りもサイズ相応で十分使えるカメラだったように思う。大きさで言えば現在でもコンパクトで持ち歩きにも手軽、また折角フィルムの入手や現像の目途も立ったので、35mm共々たまには使っていきたい。
……?