眼鏡箱

写真と長くなりそうな話の物置

LOMOMATIC 110 簡単紹介(撮影編) AGFAMATICとの比較つき

時間が空いてしまったが、ようやくフィルムを回収できたので「LOMOMATIC 110」で実際に撮影した写真を置いておく。

 

今回は、Lomographyのスタンダードな立ち位置の110フィルムである「Tiger 200」を使用した。また、あまり参考にはならないと思うが、比較の為にAGFAMATIC 3000も同様に撮影したので並べてある。

 

 

前回の外観紹介。

 

AGFAMATICの作例など。

 

 

まずはフィルム全体で一枚。以下全て上からLOMOMATIC、AGFAMATICの順。以前の記事の通り、LOMOMATICは焦点距離23mm、AGFAMATICは同じく26mmのレンズであり、多少異なるが概ねいわゆる標準域と呼ばれる画角になっている。LOMOMATICは自動露出やゾーンフォーカス調整ができるので両者の条件は異なるが、心なしかAGFAMATICの方が暗めなのもあってかはっきり写った気がする。

 

以下は露光部分のみ切り出し。

 

周辺の解像もAGFAMATICの方が良好に見える。レンズ性能以外にも1/3段分(晴天設定にすれば更に絞られる)の絞りの違いの影響もあるのかも知れない。

 

こちらでもやはり露出の違い以上の解像の差がある感じがする。LOMOMATICはフォーカス合わせに失敗している可能性もあるが。

 

今回の本題ではない年季の入ったAGFAMATICだが、こうして見ると解像以外もLOMOMATICと遜色のない写りなのが意外だった。安価なプラレンズなのが、結果的にカビの影響をあまり受けずに長持ちしたのかも知れない。

 

データ化時の処理の都合かも知れないが、AGFAMATICに比べてLOMOMATICは暖かい印象の色味になっている。

 

近い距離はやはりLOMOMATICの方が得意で、わずかだが背景をぼかすこともできる。

 

この先何枚かはLOMOMATICの左端に何かがずれたのか謎の未感光部位がある。

 

暗所もLOMOMATICの得意分野で、F2.8のナイトモードで明るく撮影できる。AGFAMATICは最も明るい絞りでF6.3なので、これ以上はフィルムや現像で明るくするしかない。

 

Lomography直営店である神保町のLomography+にも行ってみた。各種製品が豊富に並んでいて面白かったが、当のLOMOMATICは結構人気らしく品切れ中だった。

 

二枚目の方は、AGFAMATICは最短撮影距離を割っている感じがするが、LOMOMATICは恐らくゾーンフォーカスの設定に失敗している。色味は先程と違い、AGFAMATICの方が暖かい色なので、やはりデータ化の都合なのかも知れない。

 

 

 

今回撮影するにあたって実際の使用感も併せて確認していたのだが、その際に気になった事や、AGFAMATICと比べての不満点なども書いておく。

まずはシャッターのボタン。LOMOMATICは電子式シャッターなのでシャッターボタンは電子スイッチなのだが、シャッターが切れるストロークと、フィルム巻き上げの機構の動作を機械的にセットするストロークが異なり、シャッターを切ったのに押下量が少なく、その後に巻き上げができずに意図せず多重露光になってしまう事が何度かあった。シャッター自体も切れる感覚が薄いので、手振れ防止も兼ねて慎重に深くシャッターボタンを押す必要がある。また、これに加えてシャッターが作動したような音がしたが実際は露光しておらず、そのままフィルムが送られる事象も数枚発生した。フィルムのない状態で触ってみた所、こちらも恐らくひとつ前の撮影でシャッターボタンの押す量が不足した際に起こる様なので、撮影の際はシャッターの作動音などに関わらずなるべく深くボタンを押すことに注意する必要がある。なお、巻き上げ前であれば再度深めにボタンを念押ししても良いかも知れない。

次に、これはAGFAMATICと比較しての不満点になるが、フィルム巻き上げ時にカメラをスライドさせた際、LOMOMATICでは縮めている途中で巻き上げが終了するとそれ以上縮めなくなり、一度撮影状態まで伸ばす必要がある。AGFAMATICでは巻き上げが終わると自動的に機構が空回りしてそのまま最後まで縮めて携帯状態にできるので、撮影後にひと手間かかってしまうのが少し気になった。併せてAGFAMATICでは常時スライドが伸びる方向にばねの圧力がかかっているのだが、LOMOMATICは伸縮両方が人力で、特に伸ばす際に勢い余って引っ張ってしまうのが心配になったりする。これについては、縮めた後にバネ圧で伸びないようにスライドレバーで固定する必要があるAGFAMATICも面倒ではあるので好みかも知れない。

 

 

ということで、どちらかというと比較が主になってしまった感もあるが、フィルム一本分LOMOMATIC 110を使ってみた。写りに関してはフィルムやカメラの小ささを考えれば十分であり、手軽に撮影できるフィルムカメラとして面白い製品だと思う。特に、フィルムカメラを使用したことのない人向けに、レンズ交換や細かい設定を考えず、多少失敗するのも含めて、最近よく聞かれるいわゆる「エモい」写真を撮りたいという需要には合致しているかも知れない。ただ、その点でいうと110フィルムの現像がネックで、多くの人は自家現像まではしないと思われるが、その場合特に首都圏以外では現像を受け付けてくれる店舗は少なく、郵送での現像依頼となり敷居が上がってしまう。そもそもフィルム自体の入手も店舗販売が少ないのだが、それなら通販でフィルムを購入する際に、現像の為の郵送キットをセットにするようなサービスがあっても良いかも知れない(もうあるかも知れないが)。

 

今回はフラッシュやバルブ撮影については試さなかったが、折角LOMOMATIC 110を購入したのでとまたフィルムをいくつか買い込んでいるので、今後も時々持ち出して使おうと思う。