眼鏡収納箱

写真と長くなりそうな話の物置

松代の穴蔵へ潜る

先日長野県に行った際、初めは長野市でも観光しようかと考えていたのだが、近くにある松代という地名に聞き覚えがあり、思い出してみると松代大本営だったので急遽そちらを見に行ったお話。

 

最初から脱線気味になるが、こちらは松代大本営から長野市内の平野部と犀川を挟んだ場所にある大本営海軍部の壕。最近になって整備されたそうで、山沿いにある工務店の敷地内の様な場所にある。地元有志による展示室もあり、決まった日になるが予約すれば壕内も見学できるとの事。

 

こちらは少し高台になっているので松代方面の見晴らしがよい。本命の松代地下壕群は左から皆神山、舞鶴山、象山の三つに分かれて作られている。

 

その中で現在比較的自由に入れるのはこの象山のみで、見学は無料、受付をしてからヘルメットを着用して入坑(案内には入壕とあった)していく形になっている。

 

壕内はこのように碁盤目状になっており、見学コースは赤い部分の一本道になっている。

 

入口からは少し狭い壕内を若干下ってから進んでいく。所々屋根状の補強が入っているが、それ以外は掘ったままの壁面がむき出しになっている。

 

最初の角を曲がると豪内はかなり広くなる。因みに温度は外気温より若干暖かかった(この日は外気温が概ね5℃ほどあったが壕内は10℃位)。

 

意外にも坑道らしい匂いがあまりしなかったのだが、このようにいくつか開口部があるので通気が良いからかもしれない。匂いで言えば佐世保にあったいくつかの壕跡の方がそれらしかった記憶がある。

 

壁面には工具跡も残っている。また、コース以外の壕もいくつか照明で照らされており、枕木跡などが残っている個所もあった。

 

といった感じでルートとしては行って帰ってくるだけにはなるが、地上から大きく標高を変えることなく広大な壕内を歩けるのがなかなか面白く、また本土決戦に備えた準備の一端が垣間見える興味深い施設だった。因みにこの壕が見学可能になったのは1990年かららしいのだが、それまでは完全に放置もしくは封印されていたのか近隣住民の倉庫などに利用されていたのかはちょっと気になる所ではあった。

 

余談になるが壕内は広角レンズを用いて撮影をした。画角の本領を発揮した感があり、ボディの手振れ補正を信用して若干絞りパンフォーカスとしたのでMFながら概ね上手く撮れている気がする。一方で照明の色が複数あり、ホワイトバランスを細かく切り替えながら撮影するのが結構難儀したりもした。

 

こちらは先ほどの壕開口部。手前が私有地なのであまり近寄れないが、先の入り口から山を挟んで反対側にトンネルの出口状の穴がいくつか確認できた。こちらの象山は住宅地や農地のすぐ脇にあり、稜線が地上に降りる間際の山になっているので容易に登れる位置になっている。

 

 

以下は周辺を少し歩いたときのもの。

こちらは先の象山から更に山の端、一度平地になった後に少し盛り上がる場所にある離山神社。ちょっと変わった雰囲気だったのだが、この解説を見るとなかなか壮絶な場所だったらしい。恐らくこの周辺を訪れるであろうほとんどの観光客が向かう真田邸付近にも一帯の治水に苦労した記述があった(時間の都合で特に観光はしていない)。

 

周辺も歴史のある地域であり歩いていてもなかなか楽しかった。

 

 

象山から更に山の方に進んでいった先にある舞鶴山の地下壕。大きなものと小さなものの2つから構成されている。

 

こちらは大坑道の開口部。現在は地震観測施設として再利用されており、中には入ることはできなくなっていた。

 

山の方へもう少し進んでいくと観測所の庁舎が見えてくるが、こちらは当時の地上施設を再利用しているらしい。小坑道はこちらの建物から繋がっており、先の大坑道と接続していそうな作りだが、未完成だったのか経年で寸断されてしまったのだろうか。

 

奥にある1号庁舎は天皇御座所となる予定だった建物との事。見学もできるらしかったがこの日はやっていなかった。

 

某フリー百科事典によれば、向かい側にある山に三種の神器の安置する坑道が作られていたらしい。

 

 

最後の皆神山は日が暮れてしまったので山容を撮影しそこなったが、先の遠影の通り山頂付近があまり尖っていないというか若干陥没したような山になっている。壕跡も探せばあるらしいが、調べてみると地盤がよろしくないらしく恐らくほとんど埋没していそうだった。

 

なお、頂上へは舗装道路や登山道が通じており、神社や太陽光発電パネル、山頂付近で農業をやっているのか民家などもあった。周囲の山から若干離れて単独になっている溶岩ドームの山で、遠目でも見ても興味を惹かれる山だった。

 

 

元々は大本営を見るためだけに思い付きで来たのだが、周囲には城址や多くの史跡など見るところも多くもっと時間をかけて回っても楽しそうな所だった。またいつか、より一般的な観光目的で改めて来てみようかと思っている。

 

 

特に意味はないが山頂から長野市方向を多重露光で。